豊穣神社




1はじめに
このシナリオは『クトゥルフ神話TRPG』に適応したシナリオです。舞台は現代の晩夏であればどこでも良いです。
プレイ時間は1時間から2時間ほど。さっくり遊べることを目的としたシナリオです。プレイヤーキャラクター同士は知り合いでも、そうでなくても構いません。


2,シナリオの概要
探索者は街のお祭りに参加することから始まる。このお祭りは古くから神かくしが起きるお祭りでもあり、お祭りで神かくしに会った人々は「神の使いに選ばれた」と言われ、神かくしにあった年は豊穣が約束されています。
しかし、この豊穣はツァトゥグァによって起きていることであり、探索者もまた神の使いに選ばれてしまうのであった。
神社に伝わる伝承を元に探索者は神かくしの世界から脱出することを模索することになる。


3,NPC紹介、マップ
橘琴音(たちばなことね)  6歳・女  幼稚園年長くらの幼女。
お祭りを楽しみにやってきた子供。甘えん坊でちょっと泣き虫なところがあります。
橘晶子(たちばなあきこ) 29歳・女  琴音の母親
琴音の母親です。一人娘の琴音を大事にしています。母親よりは姉のような印象を受けることが多々あります。


4,シナリオの導入
晩夏のお祭りに皆さんきています。
多くの人で賑わい、大人から子供まで幅広い年齢の人がいます。探索者は好き勝手にお祭りを楽しんでかまいません。
ただしKPは神社鳥居脇にある「桃の木」と出店Bエリアにある「葡萄の棚」それから「竹林」のことをそれとなしに伝えてください。

出店Aエリアには子供が喜ぶヒーローショー用のステージが設けられています。探索者はそこで橘琴音とであうでしょう。
琴音は母親とはぐれたとぐずっていますので、母親を一緒に探してあげるのが人としての行動といえるでしょう。
琴音と共に行動していると琴音が竹林の小道で櫛を拾ってきます。どうやら竹でできているらしい上品な櫛です。<>br この櫛はのちのち大切なものになりますので探索者に預けておきましょう。
KPは途中で琴音が「もしもはぐれたら神社に行きなさい」と言われていたことを思い出させてあげましょう。


5、神社
それなりに大きい神社です。神社の脇にはこの神社ができた伝承がかかれています。
現代文ですのでロールをしなくてもわかりますが、昔から住んでいるという探索者なら知識ロールをすればより詳しい内容がわかります。
もし、だれも出身者がいないのであれば琴音から成功内容からかいつまんだ内容を与えてもいいでしょう。

【石碑の文章】
「神、豊穣を与えたり  神、等価として使いを求むられ
 人、神に使いをあたえ、豊穣を手に入れり
 神、人に3つの植物をあたえたり
 1つ天にも伸び、1つ屋根を作り、1つ豊穣の象徴なり」
【知識ロール成功した場合】
昔神様がいた。神様は村人に豊穣の加護を与える代わりに生贄をもとめた。人々は毎年生贄をささげ、かわりに豊穣の加護をうけていた。
それがこの祭りの起源である。神様は村人に、竹と葡萄と桃をあたえてくれた。これらは神社の周りにうえてあり、いまでも大切に育てている。
できたたけのこや葡萄や桃は毎年お祭りに神様に捧げる供物になっている。これを盗み食べたものは罰が当たり、神様がお怒りになるともいわれている。
現に、かつて盗み食べたものがいて、その人はみるみるうちに痩せこけ死んでしまったというはなしである。

神社にもテントがはられており、迷子センターがある。ここにいる神社の巫女と話をするならば、知識ロール成功内容+琴音に対して神かくしは供物を捧げるときに起きやすいからその時は大人と一緒にいるようにということを言う。
事実この「供物」が脱出方法のいとぐちとなるので、必ず伝えておいてほしい。
迷子センターに琴音をとどまらせようとするなら琴音は鏡を見て興味をしめします。
この鏡はご神木にとりつけられてあり、大人よりも大きいです。観光スポットやパワースポットなどいろいろなことをいわれています。
探索者がこの鏡にちかづくと鏡の中に晶子の姿をみることができます。後ろにいるのかとふりかえれば、そこにはだれもいません。
先ほどの賑わいも、人の気配もまったくしないほぼ無音の状態になります。
いきなり周りの人間がいなくなったことによりSANチェックが発生します。(0/1D3)


6、神かくしの世界、再会
KPは探索者にCON×5のロールをしてもらいましょう。失敗すれば探索者は若干の空腹を覚えます。
この世界にいると探索者は現実世界より早く空腹になります。空腹に耐え切れずこの世界の食べ物を口にすれば、その探索者は元の世界に帰ることはないでしょう。

神かくしの世界にきて目星ロールに成功すれば自分たちがいた場所がさっきとは逆であることに気が付きます。
この世界は元の世界とは鏡写しになっているのです。
探索者がとまどっているなら琴音は「おかあさんまって!」といいながら神社の階段を走って降りていきます。
探索者はおいつくことができますが、琴音は母親の晶子を追いかけることをやめません。
琴音と一緒についていく場合、出店Bエリアで晶子を発見することができます。晶子は葡萄の棚の前でしゃがみこんで一心不乱に葡萄を食べていますが探索者にはしゃがみこんでいるということしかわかりません。
琴音は探索者達の手をふりはらって母親の元に駆けつけようとします。
このとき探索者が怪しがって琴音をとめれば生き残ることができますが、そのまま母親の元にいかせてしまうと晶子がみるみるうちに無形の落とし子に変身し、琴音を丸呑みにしてしまいます。
無形の落とし子に変身するさまをみた探索者は(1/1D10)さらに琴音が食べられてしまった場合は追加で(1/1D6)のSAN値が減少します。
なお、この落とし子はこちらをおそってくることはありません。探索者が無形の落とし子を攻撃した場合は見るも無残となった琴音の体が吐き出されるでしょう。


7、神かくしの世界、探索
KPは探索者にCON×4のロールをしてもらいましょう。全開に引き続き失敗すれば明確な空腹を感じます。すぐにたべなくても問題はないですが、注意力が散漫になりはじめます。もし頭をつかうロールをする場合は−10のペナルティがつきます。

落とし子から逃げ出した探索者はこの世界から脱出しようと一度鏡の前に戻ってくることでしょう。
しかし鏡には元の世界が写っているだけで元の世界に帰ることはできません。
探索者が鏡に映る元の世界を目星するのであれば、供物台の上には何ものっていないことがわかります。こちらの世界の供物台をみても何も載っていないことがわかります。
桃は神社の鳥居横にあるのですぐに回収出来ますがたけのこは竹林にはいってもてにはいりません。今回の物語でたけのこの代わりになるのは琴音がひろった櫛なのです。
KPはこのことをなるべく最終局面が来るまでだまっていましょう。緊迫感のなかで探索者たちが知恵を働かせるポイントになります。
迷子センターで櫛を預けると言った場合は、櫛はこの世界の迷子センターにおいてあります。
さて、きっと探索者は葡萄を一番とるのをためらうでしょう。なんせ晶子が無形の落とし子にかわってしまった場所です
その場合は目星で階段下を横切る無形の落とし子(晶子)の姿を目撃できます
目撃した場合は(0/1D6)の正気度を失います。

葡萄棚に到着し、琴音死亡ルートの場合そこには幼稚園児くらいの骨と琴音の服が落ちています。
これをみた探索者は(1/1D3)の正気度を失います。
葡萄棚には葡萄が実ってなく中途半端に食い散らかされた葡萄のふさが地面におっこちていますので回収させてください。

8、逃走
琴音が生存していた場合、つかれて探索者のだれかにおんぶを頼むでしょう。琴音をおんぶする場合手を使う技能が一切使えなくなります。
葡萄を回収すると探索者たちの目の前に無形の落とし子が現れます。それは晶子より一回りほどおおきく、過去に神の使いに選ばれた人だということがわかります。
このとき失う正気度は(0/1D10)です。
落とし子は探索者たちが持っている葡萄やももを一瞥するとおそってきます。
もちろん手放して落とし子に持っているものをあたえれば襲われることはありませんが、帰れなくなってしまいますのでKPは探索者が与えようとした場合はやんわりとつたえてあげてください。
無形の落とし子は一番足の遅い探索者と同じDEXをもちます。
ここでDEX対抗でかてばぶじに神社の供物台まで逃げ切ったということにしてかまいません。
探索者の誰かが失敗してしまった場合は触肢で攻撃してくるだろう。


9供物
KPは探索者にCON×3のロールをしてもらいましょう。3回連続で失敗しているのなら探索者は空腹に耐え切れず誰かが止めなければ今にも目の前にある食べ物を口にするでしょう。
DEX対抗で逃げ切ることができ、供物を供物台にのせることができたら鏡が光輝きます。
しかし、探索者の後方から無形の落とし子となった晶子があらわれます。
晶子のDEXは一番足の遅い探索者+2となります。DEX対抗に勝てば無事に鏡に飛び込み元の世界に帰ることができます。
失敗すれば触肢や噛み付きなどをしてきます。
このとき琴音が生存していた場合、晶子は琴音に対して攻撃はして来ません。


10、シナリオの終了
鏡に飛び込んだ探索者達に対して晶子が「琴音ごめんね、生きて・・・」という(または我が子の名前をつらそうに呼ぶ涙ぐんだ)声が探索者の耳にとどくことでしょう
探索者たちは山に半分かくれた夕日を浴びながらご神木の脇で警備員に起こされます。
ある程度の出店が片づけをはじめています。
琴音が生存していた場合おかあさんを恋しがって泣いているでしょう。ここは探索者にかっこ良く決めてもらいましょう。

探索者が琴音を生存させることに成功した場合探索者は1D10の正気度を得る。
もしもだれもヨモツヘグイをせず帰還できた場合はボーナスで1D6ポイント獲得する。






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